『創造営2021』は私が生まれて初めて見た中国のエンタメ。『PRODUCE101』という韓国発の有名なオーディション番組の中国バージョンだ。約90名の参加者たちがステージごとに歌やダンス、ラップなどのパフォーマンスを披露しながら番組は進行していき、視聴者投票によって最終デビューメンバー11名が決定する。

『創造営』シリーズは毎年中国で放送されていたようだが、今年の『創造営2021』はグローバルに世界中から出演者を集めていた。その中には16人(ぐらいだったと思う)の日本人参加者も。これが錚々たる面々だったのだ。

ダンスの世界大会で14歳の時に初優勝、計4回も世界大会でチャンピオンの称号を獲得したSANTA(敬称略)。そして韓国三大事務所に数えられるSMエンターテインメント所属の有名アーティストの振付師として活躍し、幼い頃から妹さんとRespectというチームを結成し少年チャンプルーへの出演や、24時間テレビの企画・ダンス甲子園で他を寄せ付けない圧倒的な票数による優勝経験がある力丸。INTERSECTIONというグループで活動していた和馬、ミカ、ケーレン。和馬はハーバード大生で高身長のイケメン。ハワイ出身のミカは甘い歌声で視聴者を魅了。ケーレンは持ち前の明るさでムードメーカーに。多くの参加者を励まし自信を与えていた。

ここまで紹介した5人はすべてエイベックス所属のアーティストで、日本では言い方は悪いがあまり芽が出なかったのだ。この番組を通して彼らの実力や魅力が世界中に『発見』され、彼らは番組の人気を支える存在となった。特に番組序盤で魅せた力丸とSANTAによるパフォーマンスは圧巻だった。二人は多くの参加者から先生と呼ばれレジェンドステージをいくつも生み出していた。

他にも日本からは元ジャニーズジュニアで初回パフォーマンスで吉川晃司の『モニカ』を歌い会場を盛り上げたAMUや、日本版『PRODUCE101』に出演していたいくみんこと井汲大翔、同じく『PRODUCE101』に出演していた上原潤の兄・一翔、筋トレが趣味でイケメンなのにどこかお笑い要素のあるYUJINなど。AMUは石油王というニックネームを持つようにリッチな雰囲気を醸し出している端正なイケメン。いくみんは現在は韓国事務所で練習生をやっているらしい。ファイナルで見せたダンスパフォーマンスは自信に満ちていて二年前から大きく成長した姿を見せてくれた。上原潤の兄としてしか認知されていないのではと悩んでいた一翔は見る人に元気を与えるビタミンのような存在だった。

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この写真は番組テーマソングをチームに分かれてアレンジし発表した時のもの。出演者の中には作詞作曲編曲ができる人や、振り付けができる人、お笑いのセンスがある人、歌やダンスが驚くほど上手い人などとにかく多彩な人が多かった。どのチームも素晴らしいアレンジのテーマ曲を披露していた。

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出演者たちは国籍関係なくとにかく皆仲が良かった。番組自体ギスギスした場面がほとんど見られず、センターを譲り合ったり互いを思いやりながら友情を深めていく様子に心が温まった。

なかでもこの写真左端に写っている先程紹介したINTERSECTIONのメンバーで日本出身のミカと、手前のハンジャンの友情はとても素敵だった。普通に生活していたら出会うことのなかったように思える二人だが、課題曲の選択の時に「ユーカム、ユアーキング!(うちのチームに来てくれたらセンターにしてあげる)」と中国語の覚束ないミカにハンジャンは面白い英語でミカを勧誘した。後から分かったことだが、ミカはセンターになりたいからこのチームに入ったわけではないようだ。熱心に勧誘してくれる面白くて熱い男、ハンジャンに惹かれたのかもしれない。ハンジャンの独特な英語を周囲はほとんど理解していなかったようだが、不思議とミカには伝わっていたよう。いつかハンジャンの地元にパンダを見に行く約束をしているらしい。

ミカの右隣にいるSANTAと右端にいるユーヤンの友情にもとても感動した。ユーヤンは毎日四時間以上も同室のSANTAと力丸に中国語を教えていたようだ。ファイナルのソロステージではユーヤンが作った曲に載せてSANTAが得意のダンスを披露した。個人的にファイナルで一番良かったステージだった。ユーヤンは惜しくも次のステージに進めなかった時に『あなたがどこにいても中国に来たらすぐに駆け付ける』とコメントしていた。ファイナル前日もSNSを通して同室だった3人への投票を呼び掛けていた。3人ともデビューが決定し心から喜んでいる様子が印象的だった。


ダラダラとその気になればいつまででも書き続けることができるが、この辺で終わりにしようと思う。最後に私がデビューして欲しかった参加者の1人、オスカーのことを少しだけ紹介したい。

オスカーはブラジル生まれで中国語と英語を流暢に操る。Cubeという韓国芸能事務所の元練習生でWANNA ONEの元メンバーライグァンリンと一緒に練習していた過去があるらしい。どういう経緯があったのかは分からないが事務所を辞め、中国で新たな事務所に所属し過去に別のオーディション番組に出演していたよう。一見冷たそうに見えるが実際はおっとりしていて練習熱心、とても優しく綺麗好きで魅力的な男である。中性的な魅力のあるイェタオとは深い友情を築いていたが、自信を無くしかけたイェタオに『そのままの君が好き』と温かい言葉を綴った手紙を贈っていたのが印象的だった。
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オスカーは番組序盤から悪質なアンチに悩まされていた。自分のファンまでもアンチの標的にされることに心を痛め『攻撃するなら全部自分にしてほしい。実力を高めることでファンを守りたい』ととにかく努力をしていた。

彼は順位変動が激しくデビュー圏内外を行き来していて、最後までデビューできるか相当気を揉んだに違いない。ファイナルのチームパフォーマンスでは最後に羽を持ってポージングをする場面で終わるのだが練習では一度も落とさなかったのに本番でだけ羽を落としてしまい、1人だけフィニッシュの時に羽を持つことができなかった。(隣にいたクユがそのことに気づき自分の持っていた羽を手渡していた)この場面がとても皮肉で、実はこの時のチームメンバーはオスカーを除き全員がデビューしている。掴めなかった羽が未来を暗示していたようで胸が痛かった。

オスカーを含めこの番組でデビューできなかった出演者たちは、その後たくさんの仕事が舞い込んできて中国で引っ張りだこである。惜しくもデビューを逃した(これは明らかな操作であるが)ケーレンはしばらく中国で芸能活動をすることに決めたようだ。本当はデビュー圏内にいたケーレンの人気は高く、中国でもたくさんのファンを獲得している。

オーディション番組の最終回に操作というものはつきものである。中国人と外国人の割合や大手事務所との兼ね合いなどで予め日本人の定員が設けられていたのかもしれない。真実は分からないが、デビューした11人には何の罪もないので素直に祝福したいと思っている。

まとまりのない文章になってしまったが、一度『創造営2021』について書いてみたかったので勝手に自己満足している。メンターを含め素敵な人たちばかりで構成されていた最高の番組。毎週仕事を頑張るモチベーションになっていたので心から感謝している。